医療接遇とは、看護師をはじめとした医療従事者が、自身がかかわる患者の求めていることや望みに心を寄せる行動を言います。医療接遇によって、患者が感じる痛みなどの身体的な負担はもちろん、不安や苦しみといった精神的な負担の軽減を図る狙いがあります。つまり、医療従事者には、適切な医療行為だけではなく、患者の気持ちや思いに関心を寄せ、心情を推し量る能力も求められるのです。
様々な治療を施すための高度な医療技術があっても、患者と医療従事者の間に深い信頼関係が成り立っていなければ、十分な治療が行えない可能性もあります。そうした信頼関係を築く基礎となる部分に、医療接遇は深くかかわるのです。したがって、患者が適切で十分な医療行為を受けるためには、医療接遇が欠かせないともいえるでしょう。
医療従事者であれば、多くの人がすでに患者を思いやる心を持ち合わせています。一方で、そうした思いは形として目に見えるものではありません。つまり、いくら患者に対する思いやりの精神を身につけていても、それだけでは患者に伝わらないこともあるのです。
そのため、医療接遇として、思いやりの心を実際の行動として示すことが大切です。医療を行う場ではない一般社会であっても、言葉遣いや身だしなみといった基本的な礼儀が求められます。そうした基本的な礼儀以上の心遣いやケアが求められる医療現場だからこそ、誰もが大切にする、言葉遣いや挨拶、身だしなみといった基本的な礼儀をおろそかにしてはいけないのです。医療接遇を考える際には、まず、基本的な礼儀を意識して、実際に患者に行動で示すことが大切でしょう。